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第8章

「叔母さん、結構です。これから帰ります」

渕上純はずいぶん長い間風邪を引いたり熱を出したりしていなかった。最後に罰を受けたのは二年以上前のことで、出田竜也と一緒になってからの二年間、鈴木真子はあまり彼女を困らせることはなかった。

「そう、じゃあ早く帰ってきなさい。田中さんに鶏のスープを作らせておくわ」

鈴木真子はそれ以上主張せず、言い終わると電話を切った。

渕上純は携帯をしまい、痛む体を無理に支えながらホテルの外に出て、タクシーを拾って帰った。

車内で、彼女は袋から風邪薬を取り出して飲んだ。肉まんには手をつけなかった。長年の習慣で外で食事をすることはなく、常に淑女としての一面を保っ...