家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

第51章

マネージャーは顔に笑みを浮かべ、殷勤に頷いた。「もちろんでございます。私どもの務めでございます。ただ、まず周囲のお客様に少し移動していただいて、デッキの最前部のスペースを空けさせていただきます。皆様の安全のためにも」

神原文清はこれに特に意見はなく、マネージャーに任せると言うだけだった。

「あの人、彼女のためにあんなに高級な花火を買ったのかしら」

「間違いないわね、なんてロマンチックなの！」

「あの男性すごくかっこいいし、女性もとても綺麗。こんなに釣り合ったカップル、初めて見たわ」

「こんな素敵な恋愛、いつ私たちに訪れるのかしら」

「……」

周囲から次々と囁き声が聞こえてきて、...