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第47章

「さっきからあなたに似ている人がいると思って、声をかける勇気がなかったんです」と言うなり、斎藤俊は開いた車のドアから、中に座っているスーツ姿の男性の姿を見た。

神原文清は無表情で彼を観察していた。容姿も体格も優れた青年で、まるで太陽のような明るい男の子という印象だ。笑顔も非常に爽やかで、その身なりからして、裕福な家庭の出身だろう。

彼が持つ若々しく陽気な雰囲気は、神原文清にはないものだった。それは同時に神原が羨ましく思うものでもあった。

対して自分は若くして複雑な業界に足を踏み入れ、複合商業施設の世界で這いずり回って今の地位を築いた。その過程での苦労が彼から尖った個性を削ぎ落とし、残っ...