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第45章

「怒ったところで遅いし、すでに起きたことだしね。でも、君は正直だから、私も正直に言うよ。互いを利用するのはただの互いの利用関係。隠し立てするのは無意味さ」渕上純は再び目を閉じ、水面のように穏やかな表情を浮かべた。

「そんな薄着で山を登って、寒かっただろう?後で高橋健に来てもらって体を診てもらおう。古傷が再発しないようにね」神原文清の声は意外にも優しく、心配の色が滲んでいた。

しかしそれでも渕上純はまだ慣れない様子で、彼女は悪い方に考えていた。神原文清が心配しているのは、彼女の体が壊れて自由に使えなくなることを恐れているのだろうと...

「大丈夫よ、薬も飲んだし、前回の雨雪の日に凍えたお...