家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

第43章

これは彼らの目には明らかな職場いじめだった。男性通訳は自分のコートを渕上純に貸そうとしたが、渕上純にはすべて断られた。

「大丈夫よ、たいしたことないわ。登山は元々体力仕事だし、歩いているうちに暖かくなるわ。そのうちあなたたちも暑くなってコート脱ぎたくなるわよ」渕上純は何も気にしていないふりをしたが、実際はすでに寒さで限界だった。

もともと気温は低く、山の上はさらに冷え込む。渕上純は両腕を抱え、小刻みに震えていた。彼女の周りの空気には耐え難いほどの冷気が漂っていた。

渕上純は今、まるで冷蔵庫の中にいるような感覚だった。

山の中腹に来た頃には、男性スタッフたちはもう見ていられず、交代で上...