家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

第42章

渕上純は眉をひそめながら上村恵を見つめた。彼女のような考え方をする人間がいるとは思わなかった。美のためとはいえ、場をわきまえるべきだろう。

しかし渕上純は余計な口出しはしなかった。足の水ぶくれは自分で作ったものだ。他人が口を挟む権利はない。

山へ向かう一行は、上村恵とシェデルが先頭を歩き、渕上純と通訳、そして数名のビジネス担当者が後ろに続いた。最初は渕上純がシェデルと会話を交わしていたが、上村恵がゆっくりと話題を奪っていった。もちろん、渕上純はそれを気にするような人間ではなかった。

どうせ彼女も会話に参加したいわけではなかったので、後ろを歩くのは気楽でいい。

しかし渕上純は、上村恵が...