家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

第38章

「どういったご用件ですか？」

「君のフランス語のレベルはどうだい？」

渕上純は正直に答えた。「基本的な会話なら大丈夫ですが、深い対話や複雑な表現になると厳しいです」

神原文清は頷いた。「それで十分だ。今夜フランスからの提携先が来日していて、彼らと食事をする際に君に同席してほしい。通訳は連れていくが、通訳は翻訳だけを担当する。私は簡単なコミュニケーションができる女性の同伴者が必要なんだ。以前の会食での君の振る舞いのように、自然に対応してくれればいい」

よく考えてみると、渕上純は以前鈴木真子に同行した会食では外国人と接触したことはなかったが、できるはずだと思った。

「わかりました。後ほ...