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第36章

彼はバックミラーを通して渕上純に助けを求めるような目を向け、まるで「どうしたんだ?」と目で尋ねているようだった。

渕上純も肩をすくめ、自分にもわからないという素振りを見せた。

この道中、中村瑞はひどく緊張して運転していた。なぜなら、神原文清がいつ助手席に座ったことがあっただろうか?

それが中村瑞を非常に不安にさせ、運転中ずっと体が強張っていた。

ただ幸いなことに、車に乗り込むとすぐに神原文清は椅子の背もたれに寄りかかり、ずっと目を閉じていた。眠っているのか、それとも目を閉じているだけなのかはわからなかった。

車が北道湾に入ると、渕上純は後部座席から身を乗り出して神原文清を呼ぼうとし...