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第56章

エリサは突然緊張から解き放たれ、笑顔で頷いた。

「はい、お嬢様、ご安心ください。何をなさるにしても、わたくしはヴェルリット家をお守りしてお帰りをお待ちしております」

実際、二人が一緒に育ってきた長い年月の中で、エリサはアネルの身代わりとなって、布団に潜り込んでアネルのふりをすることも少なくなかった。以前はスコダ公爵夫妻にすぐ見破られていたものの、他の人々を相手にする限り、一度も失敗したことはなかった。

だからこそエリサは笑みを浮かべながらアネルの手を握り、

「今回はいつ抜け出すおつもりですか?」と尋ねた。

「今夜よ」アネルは少し考えてから答えた。

「わたくしが向かうのは戦場。馬車...