女傑

第37章

カンティニの言葉は、直接名前を出さなかったとはいえ、ホウデンには彼女が誰のことを言っているのか明白だった。

だが……

ホウデンは眉をしかめた。カンティニの判断を信じていないわけではないが、アネルのことになると、つい以前の彼女との口論を思い出してしまう。あの高貴な公爵の娘は言った。彼女は彼を奪い合うような真似は御免だと。そして彼女の子供にタイタン家の血が流れることなど望まないと。その言葉がホウデンと彼の背後にある家族を塵の中に踏みにじるものだった。

アネルの言葉によれば、あの貴族のお嬢様、今や公爵様の誇りである彼女が、人を陰で操って他人を冷遇させるような真似をするとは思えない。

ホウデ...