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第49章

柳田佳恋はおばあちゃんの胸に飛び込み、軽く甘えるように頬をすりつけた。

「おばあちゃん、私、あんな連中のために泣いたりしないわ。泣くのは、あいつらの方だもの」

「うちの佳恋ちゃんは本当に大人になったのね」おばあちゃんは優しく彼女の背中をさすりながら言った。

「佳恋ちゃん、誰かに頼んで家を売ってちょうだい。朝霧町に行きましょう。もうこんな呪われた場所には二度と戻らないわ」

「でも、おばあちゃん……」柳田佳恋はおばあちゃんを見上げた。ここはおばあちゃんが生まれた場所であり、働いてきた場所。おばあちゃんの根っこがある場所なのに。

家を売ってしまえば、おばあちゃんの逃げ道を断つことになる…...