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第40章

柳田佳恋はすぐに裏で糸を引いている人物が誰なのか思い当たった。彼女は咄嗟に塚本悟を突き飛ばした。

塚本悟は恐怖に駆られて自分を押しのける彼女を見つめ、少し冷たい口調で言った。

「俺のことを疑ってるのか?」

「違います、そうじゃないんです。私はあなたを疑っているんじゃなくて、お母様を疑っているんです。社長、正直に言いますと、お母様は今日の午後私に会いに来られて、いろいろと話をされました。きっと彼女が私を狙っているんです」

塚本悟も辛い思いをしていた。彼は拳を強く握りしめ、爪が掌に食い込んだ。

「話を聞いてくれ。実は分かっている。今夜、そのことを伝えようと思っていたんだ。母が何かするん...