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第37章

退社時間になり、塚本悟は柳田佳恋に先にアパートへ帰るよう言い、夜には中野和也が彼女を迎えに行くと伝えた。

柳田佳恋はちょうどスーパーに寄って、麺料理の出汁と麺を買おうと考えた。でも前に塚本悟が麺類は好きじゃないと言っていたことを思い出した。

考えてみて、まあいいか、と思った。社長の気持ちなんて推し量らない方がいい。

しかし結局、塚本悟は柳田佳恋の作った麺を食べることはできなかった。柳田佳恋自身も予想していなかったことだが、彼女が海の見える部屋の玄関に着いたとたん、誘拐されてしまったのだ。

誘拐とは言っても、今彼女の向かいに座っている女性は塚本悟の母親、和泉青子だった。

柳田佳恋は和...