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第36章

塚本悟は彼女の言葉を聞くと、目の中の優しさがあっという間に消えた。そうだ、これは彼女の仕事なのだ。彼がわざわざ申し訳なく思う必要などあるのだろうか。

夜風が吹き抜け、庭園には多くの花が咲き、中庭には控えめな香りが漂っていた。二人は前後に無言で歩いていた。

柳田佳恋はこの気まずい沈黙を破ろうと話題を探したが、何を話せばいいのか分からなかった。突然ポケットの携帯が鳴り、取り出して見ると本田裕也からの着信だった。彼女はすぐに電話に出た。

誤ってスピーカーフォンに触れてしまい、本田裕也の声が響き渡った。

「佳恋、またどこに行ってるんだよ?今夜もなんで帰ってこないんだ?」

柳田佳恋は「しまっ...