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第42章 誰も好きではない

藤本健司は真剣な表情で座っていた。個室では、ロマンチックなピアノの音色が流れ続けていた。

彼が先ほど言った言葉はすべて本心からのもので、少しの偽りもなかった!

その頃、隣の個室では、村上信也が腕を組み、二つの部屋を隔てるマジックミラー越しに、彼らの様子を冷ややかに見つめていた。

彼は真っ赤なバラの花と、ロマンチックに装飾された個室、そして白井麗子に真剣に告白している藤本健司の姿を目にしていた。

彼の表情はわずかに冷たく、胸の内に大きな石が詰まったように、息苦しさを感じていた。

佐藤侑里は彼の傍らに立ち、おずおずと彼の表情を窺いながら、時折隣の個室に視線を向けていた。

白井麗子と藤...