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第19章 子供は奪われた

四十分後、村上家の実家の外。

黒いマイバッハが停車し、ドアが開くと村上信也が白井美咲を抱いて車から降りた。

白井美咲は目が腫れ、頬を膨らませ、大きな瞳で別の方向を見つめていた。村上信也を無視するかのように。

そんな彼女の拗ねた様子に村上信也は苦笑した。実家への道中ずっとこの態度だった。

村上信也は彼女をからかうように言った。「いつまで後頭部で会話するつもりだ?」

「ふん!」白井美咲は冷たく鼻を鳴らし、腕を組んだ。

村上信也は愛おしそうに微笑み、腕に力を入れて彼女を抱きかかえたまま実家に入った。

部屋の中

村上翔太は無表情で、虚ろな目でスマホを見つめていた。

突然開いたドアに...