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第51章

「ピンッ——」

エレベーターのドアが開き、夏目清子は鈴木直哉の腕を抱きながら一緒に中へ入った。

エレベーターが上昇し始めると、夏目清子は笑みを浮かべて言った。

「念ちゃんも自分の一番愛する人を見つけたのを見て、本当に嬉しい。これで、私が念ちゃんから直哉を奪ったという罪悪感も感じなくて済むわ。直哉も嬉しいでしょう?」

夏目清子は鈴木直哉の顔をじっと見つめた。

彼女は探りを入れていた。鈴木直哉が本当に水原念への思いを捨て、心から彼女との結婚を決めているのかどうかを。

「嬉しくないよ」鈴木直哉は顔を向けて夏目清子を見つめ、彼女の表情が曇るのを見て、手を伸ばして頬に触れた。「水原念が好き...