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第43章

「清子、怖がらないで、どこにいるか教えて!今すぐ行くから!」

鈴木直哉はそう言いながら、電話をかけたまま大股で外へ向かった。水原念には一瞥すら与えなかった。

鈴木直哉の焦りと慌てた後ろ姿を見つめながら、自分の願いが強制的に中断されたことを思うと、水原念は思わず冷笑を漏らした。

やはり夏目清子が大事なんだ。

彼、鈴木直哉の目には、鈴木おじいさんと鈴木おばあさんの健康さえも、夏目清子の身の安全には敵わないというわけだ。

彼はこうして何の説明もなく立ち去ってしまった。

自分が彼の約束を取り付けられなかったからといって、二人が離婚するという事実を鈴木おじいさんと鈴木おばあさんに話してしま...