Chapter




Chapters
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
第10章
第11章
第12章
第13章
第14章
第15章
第16章
第17章
第18章
第19章
第20章
第21章
第22章
第23章
第24章
第25章
第26章
第27章
第28章
第29章
第30章
第31章
第32章
第33章
第34章
第35章
第36章
第37章
第38章
第39章
第40章
第41章
第42章
第43章
第44章
第45章
第46章
第47章
第48章
第49章
第50章
第51章
第52章
第53章
第54章
第55章
第56章
第57章
第58章
第59章
第60章

Zoom out

Zoom in

Read with Bonus
Read with Bonus

第16章
夜の色が深く、細かい雨が降っていたから、それとも鈴木直哉が笑いながら話していたからなのか、彼の声は無限の優しさと甘やかしを帯びて聞こえた。
「妻と夫が少し言い争っても、夫は妻にどうすることもできない、可愛がるしかない」というその言葉自体が、無限の優しさと甘やかしを含んでいた。
二つの優しさと甘やかしが重なり、水原念の心は激しく震え、思わず目を鈴木直哉の方へ向けた。
彼は今まで一度も他人の前で彼女を妻だと認めたことがなかった。
そして一度もこんな優しく「可愛がる」などと言ったことがなかった。
それまで、水原念は「鈴木直哉」と「水原念」という二つの名前の間に「可愛がる」という言葉が入る...