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第25章

葉山萌香が病院を出たとき、すでに十一時近くになっていた。

外は いつの間にか しとしとと細雨が降り始めていた。

葉山萌香は玄関に立ち、配車アプリを開いた。

近くにバー街があるせいか、この時間帯はかえってタクシーを拾いにくかった。

数分待っても、誰も注文を受けてくれない。

路肩に出て、流しのタクシーを探そうとした時、一台の黒塗りのマイバッハがゆっくりと彼女の横に停まった。

他の人を迎えに来たのだろうと思い、葉山萌香は横によけた。

その時、助手席の窓が下りた。

「葉山秘書!」

しばらくして、葉山萌香は車に乗り込んでいた。

車は高橋社長のもので、迎えに来たのは田中秘書だった。

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