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第12章

「青村さん、お褒めに預かり光栄です」高橋司は立ち上がった。

「もう遅いので、これ以上お邪魔するのは控えさせていただきます」

「ええ」青村華は軽く頷き、引き留める様子も見せなかった。

葉山萌香は高橋司と共に外へ向かった。

外では鈴木悟が壁にもたれかかり、腕にカシミアのストールを掛けて、まるで二人を待っているかのようだった。

「社長...」葉山萌香は職業的な微笑みを浮かべた。

「契約の件は解決いたしました。データを改ざんした人物も、おそらく明日にはご報告できると思います」

高橋司は無表情で彼女を見つめた。

「では、お休みなさいませ」そう言って葉山萌香は鈴木悟の方へ歩み寄った。

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