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第10章

彼女は人混みの中で、得意げな表情を浮かべている白石月子の姿を見つけた。

まるで「私がやったの」と顔に書いてあるようだった。

葉山萌香の表情が曇った。

白石月子がいるなら、高橋司も……

「お嬢様、招待状をお見せください!」葉山萌香が黙っているのを見て、スタッフは声を張り上げた。

高橋司と青木琛が急いで階段を降り、こちらへ向かってきていた。

「申し訳ありません……」葉山萌香は困惑した表情で、やむを得ず口を開いた。

人だかりの後ろから、一つの声が響いた。

「彼女に招待状は必要ない」

皆が一斉に声のする方を振り向き、葉山萌香も顔を向けた。来た人を見て、呆然とした。

なぜ彼が?

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