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第8章 あなたは損をしない

藤原真央の態度は明確だった。彼女にとってこれは単なる偶然の出来事であり、早めに損切りするのが一番だと考えていた。協力関係など全く必要ないと思っていた。

塚本恭平は眉をひそめた。藤原真央があまりにもあっさりと断るとは予想外だった。常に人々から崇拝される立場にいた彼にとって、こんなにも直接的な拒否は珍しかった。

「私と結婚すれば、損はさせないよ」

塚本恭平は何気なく藤原真央の服装を見渡し、彼女の状況を思い出した。この女は本心では受け入れたがっているのだろうと勝手に考えた。

「俺はお茶屋を経営している。普段は人を雇って任せてるし、他の仕事もある。月収は60万円ほどだ。市内に家もあるから、そ...