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第26章 彼はあなたより可愛い

「藤原さん、これは天体望遠鏡で、その...」

滝谷慎吾はまだ望遠鏡の由来を考え出せずにいた。朝と同じように会社の福利厚生品だと言おうと思ったが。

しかし、藤原真央は昼にこの望遠鏡を見ており、価格も知っていた。

どんなに鈍い人でも、六桁もする望遠鏡が会社の福利厚生品だとは信じないだろう。

「これは滝谷の友達の店の望遠鏡なんだ。店が潰れちゃって、置き場所がなくて、しばらく家に預かることになったんだ」

塚本恭平が、粗雑ながら一応筋の通った理由を述べた。

滝谷慎吾は急いで頷いた。友達同士という設定だ。

望遠鏡という言葉を聞いた瞬間、藤原翔太の目が輝いた。

バルコニーには既に設置作業が...