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第25章 一番高いものを選ぶ

「あの……」

熱心に接客していた店員さんは一瞬言葉を詰まらせた。

藤原翔太を見て、それから藤原真央を見つめ、決定権を持っているのが藤原真央だと確認すると、相手を間違ったことに気づいた。

「では奥様、ご予算はどのくらいでしょうか?」

藤原真央は少し恥ずかしそうに二本の指を立てた。

「40万円?」

店員は眉をひそめた。この価格帯は確かに高くないが、なんとか一台は買えるはずだ。

藤原真央は首を振った。

「4万円くらいのはありますか?そんなに解像度が高くなくても大丈夫なんですけど」

その予算を聞いた店員の、それまで笑みを浮かべていた顔が一瞬にして強張った。

お金持ちの坊ちゃまかと...