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第16章 小野隆治の考え

藤原真央は踊りを無事に終えることだけに必死で、先ほど自分と踊った男性が誰なのかまったく気付いていなかった。

「真央さん、大丈夫?」

塚本恭平が立ち去る時、小野隆治が藤原真央に近づいていくのが見えた。

彼の足が思わず止まった。

そして二階へと向かった。ホールには彼と言葉を交わしたい人が大勢いたが、彼の後ろ姿を見て、誰一人追いかける勇気のある者はいなかった。

「社長、例の人物の情報が集まりました」

控室で、アシスタントは塚本恭平に一枚の書類を手渡した。

そこには小野隆治の経歴が詳しく記されており、家族背景まで含まれていた。

ただし、最近半年の記録だけが空白で、調べることができなか...