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第14章 仮面舞踏会

塚本恭平は終日低気圧のオーラを漂わせて、本日の業務をこなしていた。

特別に用意した背広に着替え、その凛とした表情には一片の感情も浮かんでいなかった。

今回の舞踏会への出席は、ただ取引先への配慮に過ぎなかった。海外での長期滞在を経て国内に戻ってきたばかりの彼の動向を、多くの塚本グループとの取引を望む企業が窺っていた。

そのため、この舞踏会は塚本グループの意思表示の機会となるはずだった。

塚本グループにとってそのような機会は必要なかったが、塚本恭平自身の姿勢を示す必要があった。結局のところ、協力関係こそが双方の利益に繋がるのだから。

舞踏会は高級クラブで開催され、藤原真央はこのような場...