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第10章 新しいファッション

彼女は翔太と二人で生きてきた。弟は彼女にとってすべてだった。

3階建ての家は明るく、シンプルでありながら上品な内装だった。

藤原真央は部屋に入った瞬間、この場所が気に入った。叔母と叔父に家を騙し取られていなければ、自分と弟もこんな家に住めていたのかもしれないと思った。

「主寝室以外は好きな部屋を選んでいい。主寝室には勝手に入るな」

塚本恭平は予め女に規則を言い渡した。ここは普段住まないとしても、藤原真央にここを本当の家だと思わせるつもりはなかった。

「分かってます。入りませんから。家賃は相場通りにお支払いします」

藤原真央は弟を押しながら部屋を選んでいた。一時的な避難場所を探して...