7話
キャロラインの顔はすぐに顰められた。
いつも敏感なライアンが声を上げた。「ママ、どうしたの？」
キャロラインは現実に引き戻され、無理に笑顔を作った。「ああ、何でもないわ。ただちょっと疲れてるだけ」
サラは察して、すぐに言った。「ごめん、急かしちゃって。旅は大変だったでしょ」
キャロラインは答えた。「気にしないで、大丈夫よ。サラ、ちょっと子どもたちを見ていてくれる？着替えてくるわ」
サラはうなずき、おやつを取り出して、子どもたちを呼んで食べさせた。
ソフィーは食べ物を見て目を輝かせた。ライアンが引っ張ってようやくちゃんと座った。「ありがとう、サラ」
ライアンはソフィーに食べ物を渡し、それから真剣な表情でサラを見た。「サラ、お願いがあるんだ」
ライアンの真剣な口調に驚いたサラは姿勢を正した。「どうしたの？できることなら手伝うわ」
「サラ、子どもでもできる仕事を探すのを手伝ってくれない？」
「仕事？」サラは少し戸惑った。「どうして？まだ小さいのに」
ソフィーは口いっぱいに食べ物を詰め込みながら小さな手を上げた。「ママが疲れてるの。ライアンと私はお金を稼いでママを助けたいの」
サラは驚き、感動し、そして同時に胸が痛んだ。まだ5歳にもならないこの子たちが、もうキャロラインを助けようと考えているなんて。
「そうね、仕事を見つけるのは難しくないわ。あなたたちのかわいい顔なら、どんな事務所でもすぐに契約できるわ。有名な子役になって、たくさんの広告に出て、お金をガッポリ稼げるわよ」
サラが話せば話すほど、子どもたちの目は輝いていった。しかし、後ろから女性の声が割り込んできた。「ダメよ、子どもたちに外に出てお金を稼がせるなんて」
キャロラインを見た子どもたちの顔は曇り、希望を込めた目でサラを見た。
サラは説得しようとした。「キャロライン、最近は早くからキャリアを始める子どもたちも多いわ。今からエンターテイメント業界に入れば、将来のためにもなるわよ」
キャロラインはそれを全く受け入れなかった。子どもたちはまだ幼く、エンターテイメント業界は混沌としていた。彼女は子どもたちに早すぎる大人の問題に対処させたくなかった。
キャロラインは歩み寄り、二人の子どもたちを抱き上げてぎゅっと抱きしめた。「助けたい気持ちはわかるけど、あなたたちはまだ子どもなの。私が何とかするから」
「でも、オーディションに行きたくないって顔してたじゃん」ライアンがつぶやいた言葉は、キャロラインの心に突き刺さった。
キャロラインはライアンが自分の気持ちを察していたことに気づいた。彼女は彼の髪をくしゃくしゃにした。「怒ってないわ。ただ何かを思い出しただけよ」
彼女は決心した。オーディションに行き、第二女性主役の役を手に入れ、お金を稼ぎ、そして自分自身のためにそれをやろうと。戻ってきた以上、ロクサーヌたちから永遠に逃げることはできないのだから。