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第586話これは慈悲深い嘘じゃないか

アラリックはステランの後について診察室に入った。その表情は、前回よりも緊張しているように見えた。

ここはステラン自身の病院であるため、医師たちは院長を診察するにあたり、とりわけ丁重だった。それでもなお、アラリックの緊張は解けなかった。

「どうなんだ?」検診が永遠に続くかのように感じられ、アラリックはついに口火を切った。

「ご心配には及びませんよ、ナイトさん。赤ちゃんは至って健康です」医師は彼を安心させるように言った。

アラリックは安堵のため息をつき、ステランと微笑み合った。最後の難関を乗り越えたのだ。

「これで心から安心して、あの子が生まれてくるのを待てるわね」診察室を出ながらステラ...