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607話

ヘザーはナタリーがロザリーなんて全く気にしていないことを知っていた。

けれど、ナタリーには状況を知る権利があった。

ヘザーは以前、ナタリーと同じ立場に立ったことがある。祖母が重病だと聞いたとき、それでも戻った。心が張り裂けそうだったけれど、最後に一度だけでも祖母に会いたかった。

ナタリーは尋ねた。「今、病院にいるの?」

ヘザーは答えた。「渋滞に巻き込まれてる。30分くらいで着くと思う」

「わかった」ナタリーの声はかすれていた。彼女は電話を切り、ソファに深く沈み込み、テレビをつけた。人気の家族ドラマが放送されていて、大手制作会社による一流の演技が光る作品だった。

ドラマの中で、母親が...