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574話

ディランは背もたれに寄りかかり、にやりと笑った。「へぇ、フィニアンがナタリーの後ろ盾になってるんだ?彼女が旨い仕事を全部さらってるのも納得だね。噂じゃ次の映画はオスカー狙いだとか。でもフィニアン?ふん、所詮ただの無名だよ」ディランはハーマンに向き直り、お世辞を言った。「あいつはあなたに比べたら何者でもありませんよ、シモンズさん」

カリオペがヒップを揺らしながら颯爽と入ってきた。「シモンズさん〜」

彼女はダイナミック・エンターテイメント・メディアの四番手クラスの有名人だった。ほとんどが脇役か低予算作品の主演だったが、それでもそこそこの収入を得ていた。時々広告の仕事もあり、裕福な生活を送ってい...