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354話

ナタリーは突然胸が締め付けられ、心臓が早鐘を打つのを感じた。彼女はカトラリーを握りしめ、関節が白くなるほど力が入っていたが、それにも気づかなかった。

レイモンドは15歳の時に交通事故で記憶を失い、それ以来ヴェローノにある祖母の家で暮らしていたと言った。

彼の背中には、かつてあったほくろの跡が残っていた。

電話を切った後、レイモンドは携帯を置いて言った。「ごめん、友達からの電話だった」食事中にあんなに長い電話を受けるのは少し失礼だった。

しかし、ナタリーの目が赤くなっているのを見て、彼は驚いた。「どうしたの？また泣きそうになってるの？泣いてる顔も綺麗だけど、僕が何かしたわけじゃないよね？...