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127話

ナタリーはブライスに続いて71階にあるCEOのオフィスへと向かった。

「ハワード社長、ティーガーさんがお見えです」

「入りなさい」

ナタリーはブライスに頷いた。中に入ると、その男のオフィスはとても広々としており、エイドリアンが好む涼しげな色調で装飾され、巨大な回転式本棚と様々な高価な装飾品を展示したキャビネットがあった。

エイドリアンはソファに座り、膝を組んでいた。二人の視線が合うと、ナタリーは先に目をそらし、低い声で言った。「ハワード社長、私のイヤリングを返してください」

「昨夜、君が私を送り届けたのか?」

ナタリーは頷いた。残業代が倍になるのを断る理由はなかった。

男の視線はゆ...