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第1255話冷たい氷山対優しい妻

監督は当然のように頷いた。

彼が監督とはいえ、この映画のプロデューサーはフィニアンなのだ。フィニアンが許可すれば、それで問題ない。

フィニアンに花を持たせる形で、彼はすぐに咳払いをして言った。「もちろん、結構ですよ」

ナタリーは微笑んだ。「監督、ありがとうございます。では、夫と失礼しますわ」

ナタリーがエイドリアンの腕を取り去っていくと、それまで静まり返っていた撮影現場が、まるで湯が沸騰したようににわかに騒がしくなった。

「うそ! 今の人、誰?」

「あの男性、すごくハンサム! スーパーモデル並みのオーラね!」

「ナタリー、今なんて言ったの? ご主人ですって? あれはエイドリアンよ...