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20話

ピッパ

私は鼻歌を歌いながら出勤する。一日の始まりが待ち遠しい。キャットは約40分後に入ってきて、まるで彼女の名前の動物が引きずってきたような姿だった。

「調子はどう、キャット?良くなった?」

彼女は椅子に崩れるように座り、ハンドバッグを引き出しに入れる。

「大丈夫よ…今のところは」と、普段の声の面影もない声で言う。

この子は全然元気そうに見えない。顔色は青白く、目の下にクマができている。昨日はキャットが腹痛で休んでいたせいで、彼女と話せないし…セイル氏の姿も見れないし、一日が長く感じられた。

「そっちに行っちゃダメよ、ピッパ」

行かない。少なくともすぐには。最低でも30...