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14話

ピッパ

レストランのフロアに出た瞬間から、私は足の踏み場もないほど忙しくなった。過去2年間で仲良くなったお客さんたちが、私のセクションを指名してくれたのだ。ただお別れを言うために。

「ピッパさん」とカーマイケルさんが言いながら、私の手に紙幣を押し込んだ。「君が去るのは本当に残念だよ。ここは私たちのお気に入りの食事処で、ドリーと私はいつもここに来て君のセクションに座るのが大好きなんだ。君は最高だよ」彼の妻ドリーさんは、夫の言葉に熱心にうなずいていた。

カーマイケル夫妻は70代で、大人になった子どもが3人、孫が2人、そしてもうすぐ生まれる孫が1人いる。ベネで働いた2年間で、私は家族全員...