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677話

雪は肖像画を覆い尽くすかもしれないが、フィネガンの心の中の憧れと記憶を消し去ることはできない。

彼は頭を下げ、聖書の写経を続けた。

空が暗くなると、フィネガンは明かりをつけ、窓の外を見た。散りばめられた星々は息をのむほど美しかった。

夜でも修道院は美しかった。山の麓にある村の灯りは、静かな星明かりの川のように連なっていた。

世界中のすべての灯りの中で、もはや彼とオフィーリアのものはなかった。

「アボットさん」と修道院の院長がドアをノックした。

フィネガンはペンを置き、ドアを開けた。「何かご用ですか?」

修道院の院長フランシスは五十歳を超えていた。

「チェスをしに来たんだ」とフラ...