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578話

リビングルームは空っぽで、誰もいなかった。

「変ね」と彼女は思った。

エマーソンは困惑し、「誰かの声が聞こえたはずなのに」とつぶやいた。

辺りを見回すと、固定電話が床に落ちているのに気づいた。

エマーソンはそれを拾いに歩み寄った。ニーヴは薄暗いリビングルームのソファの後ろに隠れていた。

ニーヴは先ほどドアが開く音を聞いたが、二階に駆け上がる時間がなかったので、ソファの後ろに隠れたのだ。

エマーソンが電話を拾い上げると、外で雷鳴が轟き、それに続いて稲妻が走り、数秒間リビングルーム全体が照らし出された。

その一瞬、エマーソンは床に影を見た。

それはソファの後ろに隠れているニーヴの影...