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第682話父親の支えがあるという気持ち

セシリーは思わず心の中で身震いした。

顔を上げると、戸口から人影が入ってくるところだった。

逆光のせいで、相手が近づくまでセシリーには誰だか判然としなかった。ブライアンだ。

ブライアンの目は暗く落ち窪み、顔は憔悴しきっていた。顎には無精髭が伸び、目の下には深い隈が刻まれている。何日も髭を剃っていないようだったが、それでも彼が纏う威厳は些かも揺らいではいなかった。

ハンターとキーエンが背後を振り返る。ハンターは顔をしかめた。「ブライアン?」

ブライアンは冷ややかに二人を見据えた。

何があったのかは知らない。ただ、ハンターが、たとえジゼルが悪くとも年上のセシリーが妹に譲るべきで、事を荒立てるべきで...