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第653話私は他人を信用しないが、あなたを信頼している

セシリーは足を止め、首を横に振った。「やることがあるから、また今度にするわ」

「どんなこと?手伝えることある?」ジゼルは好奇心を持ってセシリーを見つめながら尋ねた。

セシリーはいつも用心深く、見知らぬ人に自分のことを話すタイプではなかった。特にジゼルのような、ほとんど知らない相手には。血縁関係があるとはいえ、親しくなるつもりはなかった。

「ありがとう、でも些細なことだから」セシリーの冷たい口調にジゼルは気づき、彼女の表情が微妙に変化した。

ジゼルはいつも周りから持ち上げられることに慣れていて、断られるという経験はあまりなかった。それは彼女を苛立たせたが、表には出さなかった。

「あぁ、...