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第816章資産の持ち出しに同意できる

ブランドンはアデラインに株式譲渡契約書を手渡した。

契約書には、フィービー家が現在の危機を乗り越えるため、彼女が両親から譲り受けた株式と財産を差し出し、どんな苦楽もフィービー家と共にする意思がある、と記されていた。

ブランドンが提供を求めている資産の額に目を通したアデラインの手は、震え始めた。

彼女はフィービー家に戻った当初、ザラから聞かされた言葉を思い出していた。――長年ハワードが彼女を見失い、二十年以上も不遇の時を過ごさせたことで、フィービー家は彼女に負い目があるのだ、と。

だから、その埋め合わせとして資産の一部を彼女のために確保しておくことに決めたのだと。

当時、アデラインはそ...