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第57話

灰皿がレイモンドの足元に落ちた。上等なもので、転がっても傷一つ付かなかった。

レイモンドは嘲笑うように言った。「お前はこの私と結婚するために家族全員に背を向けたんだ、いわゆるクソ野郎よ。目が見えなかったとでも言うのか?」

彼はそれをさりげなく言うと、黒いドレスパンツを履いた長い足で階段を降り始めた。

マーガレットは本当に腹を立て、スリッパを履いたまま駆け寄った。「レイモンド、この馬鹿!そこで止まりなさい!」

レイモンドは階段を降り続けた。

マーガレットから鋭い痛みの叫び声が上がった。「足が!」

レイモンドは螺旋階段の下で立ち止まった。

「レイモンド、足首を捻ったわ」マーガレットの...