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第51話

レイモンドは一瞬立ち止まり、顔が強張った。

彼の目に深い感情が閃いたかと思うと、静寂が訪れた。

彼が振り向くと、マーガレットが目をきつく閉じ、眉をしかめているのが見えた。彼女の美しい唇が動き、何かを囁いていた。

マーロンが正気を失う前なら、彼女が甘く「レイモンド、行かないで」と言えば、彼は自分を騙せたかもしれない。

しかし今、ヒューズ・グループは完全に彼のものだった。

マーロンは両親を殺していた。彼らの関係は最初から歪んでいた。

レイモンドは葛藤に満ちた表情で、優しく彼女の指を一本一本、自分の手から離した。

彼は振り返ることなく歩き去った。

スイートルームのドアが静かに閉まった...