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第500話私のためでも強くなってください

レイモンドは歩き続け、やがて東屋(あずまや)へとたどり着いた。

その傍らには、一本の桜の木が満開の花を咲かせていた。

花びらは白に近い淡いピンク色で、そよ風が吹くたび、まるで穏やかな雨のようにひらひらと宙を舞っていた。

レイモンドが青白く、広い手のひらを差し出すと、一枚の花びらがそっと舞い降りた。

ふと、大学時代を思い出した。キャンパスの小道には桜並木が続いていた。

舞い散る花びらの中を、よく自転車で駆け抜けたものだ。

マーガレットは後ろに乗って、嬉しそうに叫んでいた。「レイモンドとマーガレット、永遠に一緒よ!」

「おい、静かにしろよ。キャンパスの中だぞ」少し照れくさくなって、彼...