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第490話車に乗って、連れ戻してあげる

屋外だというのに、雰囲気はとても良かった。

ウェイターがレイモンドの隣に立ち、ヴァイオリンを奏でている。

聞き覚えのある曲だった。かつて彼女が一番好きだった歌だ。

マーガレットは、レイモンドが今夜の会食に多大な努力を注いだことが分かった。だが、彼女の心は少しも動かなかった。まったく、何も感じなかったのだ。

彼が立ち上がり、自ら彼女のために椅子を引いて座るよう促した。

気は進まなかったが、彼の強い視線に触れ、彼女は怒りを抑えて歩み寄り、腰を下ろした。

「君のお気に入りだ」レイモンドはそう言って、スライスされたステーキの皿を彼女の前に押し出した。

盛り付けは素晴らしかったが、食欲は湧...