Read with BonusRead with Bonus

第483章彼女が欲しがるものは結局何もない

サラは必死にもがいたが、ボディガードたちの力には到底かなわなかった。

「レイモンド、痛いわ……」サラの声は嗚咽に詰まっていた。

レイモンドがアルヴィンに目配せすると、アルヴィンは二人のボディガードに向き直った。「彼女を放せ」

解放されたサラは、味方ができたとでも思ったのだろう。興奮した様子でハイヒールをカツカツと鳴らし、椅子に座るレイモンドのもとへ駆け寄った。

興奮しすぎていたのか、あるいは歩幅が大きすぎたのか、突然ヒールがポキリと折れた。

サラはぐきりと足首を捻り、痛みで地面に崩れ落ちた。手を伸ばしたが、届いたのはレイモンドのスラックスのまっすぐな脚だけだった。

彼女は目を赤くし...