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第444話恋に落ちたレイモンド

「レイモンド――」

車内から女の声が響いた。

マーガレットは眉をひそめた。その声は不気味なほど聞き覚えがあり、まるで自分の声そっくりだった。もし自分がそこに立っていなければ、自分が話しているのかと思っただろう。

レイモンドの視線を追い、彼女は疑念の目で駐車しているカリナンを見た。

雪が絶え間なく降り続き、マーガレットの視界をぼやけさせた。

白いダウンジャケットを着た少女が、ゆっくりとカリナンから降りてきた。

長い髪が肩に流れ落ちていた。

レイモンドが彼女に手を差し伸べると、少女ははにかみながら彼の手のひらに自分のそれを重ねた。

少女が軽く数回咳き込むと、マーガレットはレイモンド...