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第392話誘惑したあとに捨ててしまう悪人はキミだ

マーガレットは彼の言葉を聞いたが、感動するどころか、悲しみが胸を突いた。彼女の内側に怒りが込み上げ、彼女は肩を掴む彼の腕を振り払おうとした。「レイモンド、離してくれないと本当に怒るわよ!」

彼女は必死に感情を抑えようとしていた。彼がまだ回復途中だと分かっていたから、爆発しないように努めていた。彼と言い争いたくなかった。

「やっと怒ってることを認めたね?」

彼は一引きで彼女を膝の上に引き寄せた。その姿勢は妙に親密だった。

マーガレットの目が赤くなった。まるで彼が彼女の神経を逆なでしたかのようだった。熱く、無力な涙が彼女の目からこぼれ始めた。

喉が締め付けられるように痛んだ。

レイモン...