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第304話無数のアリが噛むように

マーガレットは二人が一緒に去っていく姿を目にした途端、肝臓に激痛が走った。まるで巨大な手で引き裂かれるような痛みだった。

口の中に錆びたような味が広がってきた。

慌ててトイレに駆け込み、洗面台に屈み込んで真っ赤な血を吐き出した。唇から鮮血が滴り落ちる。

マーガレットは目を見開いたまま、痛みに顔をゆがめた。

なぜまた血を吐くのか。医者は体調が良くなっていると言ったはず。奇跡が起きたと。まさか自分の体は…

考えることもできなかった。喉から大量の鮮血が溢れ出る。

全身が無数の蟻に噛まれているような激痛。

マーガレットは苦痛で顔が蒼白になり、額には冷や汗が浮かんでいた。

裁判の前に鎮痛...